何かもういっそこのまま死んでも良いんじゃないかと、そのとき一休は思った。

の膝枕を堪能している今ならもう本当、死んでも良いかもしれない。鬼幸せ。何コレ鬼ヤバイ。
鼻血を出さないかだけが唯一心配だった。心臓はバクバク動いているし、頭に血も上っている気がする。顔が熱い。身体もぽかぽかしてきた。頬は絶対赤みが差しているだろう。それでも良かった。恥ずかしいけれど全然構わない。だってこの状況幸せだから。

ベッドに自分の背を持たれながら、は一休の頭を膝に乗せていた。
の顔を下から眺めるのは凄い新鮮なのだが、一休には刺激が強すぎて一回見ただけで目を逸らした。いやだって、顔近いし。鬼可愛いし。自分を見てにこりと笑うは世界一可愛いと一休は本気で思っている。いやだって、鬼可愛いし。欲目があるとは思ってもいない。本気で可愛いと思っているし、そう見えている。
顔を合わせながらの膝枕は色々と困るので、一休はと同じ方向を向いていた。それでも良い。鬼気持ち良い。何これ膝枕ってこんな気持ち良いの?何で?
ただ一言、してほしいと言うだけでこんな幸せになれるなんてどういうことなんだ。良いのか。お金払いたくなる。…ああ、そうかキャバクラとかそういう夜の遊びはそういう意味か…。一休はこんなときにそう思った。しかしこれは確かにお金を払いたくなる。幸せすぎるし柔らかくてとても気持ちが良い。

(今度お礼に…いや別に今日でも良いか。うん、何か奢らないと気が済まないなあ)

は遠慮するかもしれない。それでも何かお礼をしよう。
本当に気持ちが良かった。横になっているせいで眠気もある。
何より自分の頭を優しく緩やかに撫でるの手が、更に眠気と幸せな気持ちを運んでくる。親の膝枕で耳かきをされたときも軽く寝たことがあるが、その比ではない。もう意識手放したい。でもそれって鬼勿体無い。この時間はもっと堪能したい。
そもそも、今ここで寝たら困るのはだ。そう思って一休は物凄い必死に眠気と格闘していた。

ずっと夢だった。女々しいのかもしれないけれど、好きな人の膝枕。漫画とかでよく見る、あの憧れの出来事。
ドモリながらも「してほしい」と伝えて、今この状況。勇気を出して良かった。
うとうとしながら、瞼が半分ほど閉じかけている中で、の優しい声が聞こえた。は、声も手も優しい。勿論性格もだ。こんなことをしてくれるのだから。
のその一言は、眠気を覚ますのに充分だった。

「ねえ一休君。次は、あの、私も膝枕してほしいな」

する方もされる方も、気持ちが良くて幸せなのだと一休はその後知ることになる。



10/12/01
膝枕をするんじゃなく、してほしいという男性キャラはアイシでは沢山居るのですが(個人的に雲水さんガン押し)、
普通に膝枕を要求してくるのは誰だろうなあと思って一番有り得ないと思ったのが一休でした。
でも、この子なら膝枕一つでも凄い嬉しがって幸せだと思うんだろうなあと。
手を繋ぐのも、彼女を待ち合わせで待つのも、膝枕するのもされるのも、鬼嬉しくて幸せだと思うんじゃないかと願望を抱いてます。
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