「…、良いヨ」
「えー、何で」
「自分で、できる、から…」

軽く腰を捻ってタタンカは後ろに居るにそう告げる。何故だか、恥ずかしい。
面倒くさいから髪を解いていただけなのに、が編んでくれると言い出した。
嬉しい反面、どうしてか恥ずかしかった。自分の大雑把と言うか、だらしない部分を見られたせいも有るかもしれない。
読書の続きをしながらで良いと言われても、気になってしまって読めなかった。好きな人に、こんなことをされて平常心で居られるほどタタンカは自身が出来てると思っていない。さっきからずっと同じページを読んでいることには気付いていないのだろうか。
…いや、気付かれていても恥ずかしいだけだ。今以上に恥ずかしい。
姿勢を悪くするつもりは無いが、知らずタタンカは背中が軽く丸まっていった。頬が、熱い。

「んー…寧ろ、編ませてほしいと言うか。触ってみたかったんだよね、タタンカの髪」
「……」

ズルイ。
タタンカは簡潔にそう思った。そんなこと、言われたらどうしようもない。
顔が更に赤くなってるのが解る。ああ、どうしたら良いのか。答えが無い問題は、どうして良いのか解らなくなる。数学や物理の問題がいかに簡単かをこんな所で理解した。人の気持ちや、自分の感情は本当に難しいことだ。
目の下を赤くしながら、タタンカは無理なことを解っていながら、にはそれ以上何も答えずにとりあえず読書の続きに励んだ。

(アア、本当に、ズルイ)

自分は、こんなにも彼女に振り回されてばっかりなのに。彼女は平気でこちらに踏み込んでくる。良いように振り回されている自分が悔しかった。
でも、彼女がこうやって近づいてきてくれることも嬉しくてしょうがない。男として見られてないのかもしれないけれど、警戒心が無いのは接しやすいということだろう。

(…もしも、また明日髪を下ろしてきたら、)

そうしたら彼女は、こうやって触れてくれるだろうか。自分に、こうやって近づいて、話しかけてくれながら。
恥ずかしい、でも、やってほしい。

そうして、自分の考えがまた彼女と同じくズルイような気がして、結局タタンカはさっきと同じ行をまた読み返していた。



10/10/17
純情なタタンカを押していますが、正直そこそこ経験豊富なタタンカでも余裕で行けます。
でもパンサーと一緒で、多分意識している子に触られたら必要以上に自分が意識して赤くなる子な気がします。
ただパンサーと違うのは、そっから発展するように考えていく所かな。
しかも行き当たりばったりとかじゃなく、きちんと考える子だと思います。

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