一緒

一緒にいて安らげるとか、とのことを言うんだなあと、最近になって気づいた。

グリフィンドールのほとんどが冬休み中は帰省する。当たり前と言ったら当たり前だった。その中でシリウスは家に帰る気なんてさらさら起きることもなく、その恋人のは家が遠いからという理由で帰省しなかった。日本人の彼女からしたら正月だけは帰ったほうが良いかなあと思っていたのだが、大変だろうから学校に居れるなら居たほうが楽なんじゃないかと親から言われていたからだ。シリウスも1年の頃からずっと居残り組みなので、別段寂しくはなかった。恋人同士になれた今は寧ろ楽しみな長期休みだった。

大抵は談話室で一緒にいることが多かった。食事は摂りたいときに摂るが、基本的に一緒に食べていた。やっぱりあの広い食堂でぽつんと食べるのは寂しいからだ。
それ以外は図書室で勉強したり、外に出て遊んだり、デートしたり、自由気ままな生活をしていた。これ幸いにシリウスはにべたべたしたりもする。
いっつもいっつも、ひっついているわけでも、ないけれど。

することもないから談話室で本を読む。この間図書室で借りた「悪戯百選」とかいう心躍るタイトルだった。自分たちがいるというのにこういうのを図書室に置いていて良いのだろうかと見つけたときに思った。すんなり借りられたから余計大丈夫かと思ったけれど。中身はなかなか、古いけれどもそれなりに見ごたえのある内容だった。ジェームズに仕掛けてみようと思う。それを改良して本格的に誰かに仕掛けてみたいところだ。
は出された宿題をしていた。寒いのか暖炉の前の机を陣取って色んなものを広げてやっていた。こういう人がいないときは便利だ。

二人でもいても会話はなかった。別にいつもいつも話のネタがあるわけでもないし、お互い自分自身の時間も大事だったからだ。
と付き合う前にも何人かと付き合ったことは、あるにはあるけれど、面倒くさい奴ばっかりだったなあと時折思い出す。はその点こうやって気を使わなくても一緒にいれてとても楽だった。一緒にいるからってずっと喋っていないといけないとか、決められているわけでもないのに前の女たちは構ってくれないだの何だのうるさくて仕方がなかった。無茶言うな。0か100かの考え方しかできない奴と付き合っているのは本当に大変だった。…やっぱりというか、そういう女と長く続いたことはない。
とは今までで一番長かった。お互いの時間はお互いのものだと、解っているからだと思う。
だからといって別に関係が淡白とかプラトニックとかそういうわけでもなく、ちゃんとデートもするしハグもキスもそれ以上だってする。仲だって良い。寧ろ一緒にいる時間はかなり多い。
というか、別段話はできなくても一緒にはいたいと思っている。だからか、気づいたら一緒に談話室にいるし、移動するときも一緒だったりする。何をするでも、話すでもないけれど、一緒に共有している時間は、かなり多かった。

時折甘えたくなるというか、膝枕とか要求したり髪の毛触ったりと絡むこともあるけれど、お互い自分の好きなことをしているときはその時間をお互いが尊重して大事にしていた。…ちょっとこれ夫婦っぽい気がする。でもそれが長続きする秘訣なのかもしれない。

一緒にいてドキドキするっていうのは、もう随分前に過ぎ去った感情だけれど、それでも一緒にいてこうやって安らげるっていうのは、かなり居心地が良いことだった。





11/12/31
夫婦か?
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