あなたのしあわせが、わたしのしあわせです。

20万打御礼企画

「…どうですか」
「何で敬語なんだよ」
「………解ってよ」

解るかよ、とシリウスは軽口を叩きながら口に物を運ぶ。手つきは淀みないので、とりあえずは彼の口に合っているようではホッとため息を吐いた。
…美味しいかはともかくとして。
もっと家に帰ったときに母親の手伝いをしておくんだったと、今更ながらに後悔するがもう遅い。人並み程度にはできるが美味い料理を作れるかと言われれば微妙なところである。形にはできるし吐き出すほど不味いものを作るわけではない、が。だからと言って育ちの良い彼の舌に合うものを作れているかと聞かれれば全くもってして解らない。
少し気落ちしながらはとりあえず自分のフォークを持つ。落ち込んでも仕方がないので食べた後にまたレシピを探したり次のことを考えるしかない。味見をした限りでは不味くはないので、そこがとりあえず救いだった。食べられるならダメージはまだ少ない。
とりあえず自分ももしょもしょ食べ、時折シリウスと他愛もない会話をし、つつがなくその食事の時間は終わった。

フォークを置いて、シリウスは腹を叩きながら言う。

「あー食った食った。ええと、何だっけか。…ゴチソウサマ?」

ニカッと、あの綺麗な顔を崩しながらそう笑って言ってくれたものだから、次はもっと頑張ろうとは誓った。

***

13/11/11
20万打御礼企画
群青三メートル手前様から君酔二十題
19. あなたのしあわせが、わたしのしあわせです。

***

「ん、…美味い」
「ホント?」
「嘘吐いたってタメになんねーだろ」
「そっか、……そうだね」

このメイン料理味が沁みててすげー美味い、そう言いながらシリウスは笑顔だったので、はそれだけで嬉しくなって微笑んでいた。
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