ブラックの香水

「今年は、香水です」
「香水」

から誕生日プレゼントを貰った。友達だったときから毎年貰ってはいたが、彼氏彼女になってからは二回目である。家にいる間は別に嬉しくも何ともなかった祝い事が、ホグワーツに来てからはドキドキソワソワするイベントになった。小説とかにあるあの気持ちが今なら解る。自分がまだまだ子どもだと思ってしまうが、嬉しいことはやっぱり嬉しい。
綺麗にラッピングされているプレゼントをマジマジと見てしまう。

「マグルが出してる会社のなんだけど、凄い、シリウスに似合うので」
「へえー」

聞きながら開けていく。黒が基調のシンプルなデザインだった。香水の名前を見て、おいおいとは思う。

「お前これ名前で決めただろ」
「うん。第一印象から決めてました」

いやだって凄くない?なんてちょっと興奮してが喋ってくる。確かにブラックなんて名前の香水、そりゃ俺と結びつけるだろうけども。安直過ぎないか?レギュラスとかにも贈ってないだろうな止めてくれ。

「あ、でも良い香りだな」
「でしょ!?名前も見た目もだけど凄い香りもシリウスっぽいの。凄いでしょ!今年は絶対コレ!って思って」

気に入らなかったら付けなくても良いけど、付けてくれたら嬉しいと続いた。…つまりは好きな香りってことだろう。アレ何かこれちょっと興奮するかも。からのこういうのはあんまりないから普通に嬉しい。いつも控えめでこっちの顔色ばかり伺ってくるこの彼女が、こういう部分を見せてくることはだいぶ少ない。
早速手首に吹きかけてみる。…うん、悪くない。というか良い香りだった。学生の自分には少し大人っぽすぎる気がするが、が好きなら良いだろう。

「どうよ」
「…うん、やっぱり良い香り。シリウスに似合う」

凄い好き。
何気なくが呟いた言葉が嬉しかった。いやでもその言葉自分自身に言ってくれない?香水じゃなくて俺を好きだって言ってくれない?こちらから催促しなければあまりそういうことも言ってこないから不安になる。いや愛想を尽かされてるとかは絶対ないけれど。そこは妙に自信がある。

「誕生日おめでとう、シリウス」

こんなにも笑顔で言ってくれるのだ。そりゃ愛されているだろう。こっちもとびきり笑顔でを抱きしめた。



17/11/11
これは誕生日間に合いませんでしたけど当日にはばっちりしっかり香水とケーキ買ってお祝いしました。
生まれてきてくれて本当にありがとうございます。いつまでも好きです。
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