例えばの話をされた。
「さんが子どもを作るなら安居や涼が良いって言ったらどうするの?」
よく解らない例え話だった。どうするも何も自分がどうこう言うことではない。
彼女がその相手を自分で決めたのなら、それはどうしようもないではないか。
「えーと、そうじゃなくて、源五郎さんはどう思うの?」
「……」
よく解らなかった。考えたこともない。ただ彼女が妊娠して、子どもを産むことは動物たちの出産よりも心が躍りそうだと感じた。
「もー!!だからね!さんと安居くんがチューとかエッチとかしたらどう思うの!?」
「…………」
そう言われて初めてそういうことを考えた。……、……それは、何と言うか。
「嫌でしょ!?」
「は?…嫌とかは別に」
「えー!!」
「ただ」
「ただ!?」
彼女が子どもを産む相手に、自分できちんと決めたのなら、文句を言うのも不満を言うのも筋違いだ。自分が、劣っていたのだろうと思う。選んだ相手が彼女のお眼鏡に適うだけの人物だったのだろう。自分はそれに見合わなかったのだろう。ただそれだけのことだ。
それが安居なのかもしれない。涼なのかもしれない。夏A以外の人間なのかもしれない。それは彼女が命を懸けてすべきことの相手だ。相応しい人を選ぶのは当然だろう。
ただ例えに出された安居で考えたときに、出たこの感情は。
「……嫌とかではなく、……僕の方が、合うんじゃないか、とは」
そう答えたとき、その場にいた女性陣たちからとんでもない笑顔を送られたことは暫く経ってもよく解らなかった。
17/11/11
それが好きってことよ!