時々届く、君からのメール

季節が変わってくると、届くお便り。
それが何よりも楽しみ。



最近少しずつ温かくなってきた。もう冬も終わって、春が来る。
そんなことを考えるようになると必ずと言って良いほど来るメール。
遠く離れたアメリカという地で過ごしている彼からの数少ないコンタクトの一つ。
それが、にとってとても嬉しいこと。

アメリカと日本では気候などが結構違うというのにブレットはが季節の変わり目を感じるとメールを送ってくるのだ。
『そろそろ日本は寒くなってくる時期だが風邪なんか引いてないか?』
この間、冬になる前のメールではそんなことが書かれていた。そのメールを受け取る前日にはもう冬だなー寒いなーなどと考えていた分とても驚いた記憶が有る。エスパーじゃないだろうかと真剣に考えた。

ただ簡潔に近況を述べて、自分のことを気にかけてくれる短いメール。
それでもにとってはとても嬉しいメール。
いつもはそこまで気合を入れることも無いのに、こんな時だけ表現の仕方や誤字脱字が無いかちゃんと確認しながらメールを作る。
あまり難しい漢字や言い回しを書くとブレットでも解らないことが有るから実は結構苦労したりする。当て字なんかを使うと質問の嵐だったのを思い出しては笑った。

本当は電話で会話出来れば一番楽なのだがそれだと親に土下座しても許してもらえない事態が起きそうなので自粛している。本当に時々許される幸せの手段なのだ。
けれどもメールだけでもこんな年に数えるまでも無い回数なのでそこら辺はもうしょうがないと諦めている。電話だったら数えられないくらい連絡が取れるかと言われたらNOだからだ。ブレットも忙しければ自身もそれなりに忙しい。ましてや時差も障害として有るのでどちらかと言えば電話よりもメールの方が手段としては確実だった。
確実なのだけれど、ブレットからは年に数回しか送られて来ない。当然と言えば当然だった。彼は自分よりも数段忙しいのだろう。

夢を叶えるために努力している彼が好きだった。だから寂しいと思うけれど我慢している。
逆に、自分も磨きをかけなければと奮闘するようになった。
そうなると自然と自分の日常も忙しくなる。そんなの身にはブレットから来る年に数回のメールが丁度良いように思えた。

もう直ぐ、春が来る。
春が来たらブレットの誕生月の6月も直ぐだろう。
今年は何を贈ろうかと今から少し悩んで、気が早いと自分で自分を笑った。
そんなことを考えながら家に帰り、パソコンの電源を付ける。
新着メールを受信しているのを見て、の口はまた弧を描いた。
差出人は、アメリカに居る愛しいブレットから。



07/12/27
お題:applepie様から(リンク消失)