は狸寝入りをすることが最近増えた。
「おい」
理由はちゃんとある。カルロが起こしに来てくれるからだ。あのカルロがだ。
カルロが自分を起こすあの声が聞きたくて、は寝坊する回数が増えたし、その半分以上は狸寝入りだ。笑われたって構わない。ただカルロのあの声が聞けるなら、馬鹿なことだって笑われたって別にどうとも思わないし、それくらい馬鹿なことをしても聞きたいと思えるのだ。
「」
ベッドに腰掛けながらカルロはイラつく声を出すでも、怒鳴るように声を出すでもなく、ただ普通にの名前を呼ぶ。本人からしたら、それはとても優しい声音に聞こえるから不思議だ。
その声が聞きたいから、こんな馬鹿なマネをしている。
「、いい加減起きろ」
今日も彼は、髪を梳きながらそう言って優しく起こしてくれる。普段の性格からでは思えないような起こし方が、にとってはとても幸せで何度経験しても満足できないくらい甘美なものだった。
「、」
ああ今日も一日頑張ろうと、自然にそう思っては目を開けてカルロにおはようと投げかけた。
13/08/28
20万打御礼企画
群青三メートル手前様から君酔二十題
08.愛だけで満たされた声で