ぐーてんたーく!

時間を確認して、日本との時差を計算する。うん、大丈夫。迷惑にならない時間だ。
予め色々情報収集はしておいたから、今日のこの時間なら居るはず。ミハエルは自室にある、他人から言わせると品の良いらしい電話の受話器を片手で取った。中々、恥ずかしいものだ。

(僕の部屋に電話あって良かった…)

普通の一般家庭ならリビングとか廊下とかにあるのだろう。凄く恥ずかしい。別段普通の友人との電話なら構わないが、今回のような用件の場合あんまり人に見られたくないし聞かれたくない。
直前の時間がたっぷりある分、中々緊張するものだ。勢いだけならその場のノリや雰囲気でどうにかできるだろうけれど。
本人が出てくれれば良いなあと、ミハエルは思いながら日本に居る人の電話番号を掛ける。
数回コール音が聞こえて、その間どんどん心音が大きくなっていった。同時に色んな想いも溢れてくる。何を話そうか。何を聞こうか。どんな話ができるだろうか。彼女は元気だろうか。
片想いが楽しいってこういうことかと、高揚感溢れている感情の片隅で冷静に思ってる自分が居た。確かに、これは中々楽しいかもしれない。

コール音が途切れた後、久しぶりに彼女の声が耳に届いた。電話越しで、少しだけ声質が変わっているかもしれない。それでもこの声は彼女だろう。

「Guten Tag!久しぶり!」



当時のつもりで書いてるので、携帯とかパソコンとか普及してないです。
ミハエルは意外と書きやすい。