Es ist Liebe auf den ersten Blick.

どうにもこうにも、この人のやってることは解せない。

「ミハエル、こんな所にいて大丈夫なの?」
「うん、やることは終わらせて来たよ?」
「…そう」
「ね、一緒にどっか行かない?」
「行かない」
「えー、何で?」
「不用意に男の人と二人で出かけたりしないの」
「そうなの?他の人とも?」
「当たり前でしょ」

日本人でもそんなに男の人と二人きりという状況は好きじゃなかった。面倒くさいし、好きでもないのにそういう状況になるのは許せなかった。
なら目の前の人物は違うじゃないかと思うけれど、この可愛い顔してやり手の男の真意が解らない今はそんな不用意なマネはできなかった。これで何か変な女の人に絡まれたらそっちの方が厄介だ。ミハエルに付き纏うような女なんて、権力も富もある面倒くさい女に決まってる。もしくはモデルか?ゴシップなんかに載ったらそれこそ自分の人生お先真っ暗だった。今のこの状況もあまりよろしくないから、さっさと切り上げたかった。

「…シュミットとか呼べば良い?」
「やだちょっと本気で止めてよ。そっちのが面倒くさい」
「ええー…。…まあ、確かに男だらけは不味いかなあ」
「そうよ。だからと言ってミハエルの知り合いの女の人連れてこられても、私気まずいから行かないけど」
「ちょっと、先回りしてそんなこと言うの?もう、少しくらい構ってくれても良いのに」
「やーよ。本命にアタックしてきなさい」
「…してるよ?」

大きく成長してもミハエルは首を可愛く傾げる。図体は大きくなったし、顔も男の人という感じになったのだが、それでもこういう仕草をすると可愛く見えるから不思議だ。
その外見に騙されそうになったというか、聞き流しそうになったが、何だ今の発言は。してるって、本命にアタックしてるってことか。
つまり今の状況がそういうことなのだろうか?いやいやいや。

「……ちなみに、それは一体いつ、どこで、誰に?」
「今、ここで、に」
「いやいやいや」
「えー…流石にさあ、僕もどうでも良い子を用事もないのに誘ったりしないよ?」
「……、いや、いやいやいや」
「往生際が悪いね」
「ありえないって」
「何で?」
「……いや、本気じゃないでしょ?」
「本気だけど?」

何を言ってるのかという顔でミハエルは言ってくる。嬉しいけれど、いやまてありえない。あのミハエルがそんなこと、という考えで頭の中は回っていた。端的に言うと信じられない。どこだ、彼がそうやって口説いてくる要素は、自分のどこにある。

「Es ist Liebe auf den ersten Blick.」
「へ?」
「一目惚れなんだ。僕もね、ずーっと考えてたんだけど、これ以外考えられなくてね」

にこやかにミハエルは続ける。恥ずかしくて、は顔を赤くしているのに構わず目を見てミハエルは話した。

「信じられないかもしれないけど、本当に、一目惚れ。ずーっと、だけ。ね、僕もさ、不用意に女の人と二人きりなんてならないよ。誘ったりも、しない。自分のことは自分がよく解ってるからさ。そんなことして図に乗るような子っているし。でも、は特別」

図に乗ってほしいから、言ってるんだけど?これでも駄目?
そうやって手を握り締めて、ミハエルはまた首を傾げながら言ってきた。
彼の真意が解らないからずっと断ってきた。本当は、一緒にいられるならいたいのに。でもミハエルは嘘は言わないし、確かに特定の女性と一緒にいるということは聞いたことがなかった。は心臓がドクドクずっと言っているのが解った。触れられている手が熱い。
真剣に見られている目も、逸らせない。恥ずかしいのに、逸らしてはいけないと思っている。

彼の本心も、真意も解らなかった。解ってしまった今、自分の気持ちに嘘は吐けない。



12/04/21
結構誠実に対応してるのに、報われないミハエル。かるーく誘うのでそう見える。
直感強そうなので、一目惚れとか普通にしそうです。
時間軸は自分でもよく解ってませんすいません。
WGP終わって、数年後くらい。日本なのかドイツなのかも考えず書いてます本当すいません。考えるな!感じろ!こういう感じですいません。