唯一無二の贈り物

欧陽玉からしたら管飛翔が奥方のに対する対応は、憤り通り越して正座させて説教したくなるくらいなっていないものだった。
何であの品のある女性がこんな鶏頭のヤクザ野郎と今でも一緒にいるのかが解らない。もしも自分と出逢っていたらもっと女性として幸せにさせようと思うのに。本当に何でこんな男が良いんだ。
贈り物など滅多にしないなどと、そんなことをほざく男なんかよりも幸せにしてあげられる自信があるのに。

「要らねえだろそんなもん。増える一方じゃねえか」
「貴方ねえ!仕事で帰れないことも多くて寂しい思いだってさせてるっていうのに何なんですかその対応は!あんなにもできた奥方に対して感謝の印とかあげたらどうなんです!工部尚書の肩書きは飾りですか!」

品を選ぶ技術が悪いわけではないのだ。一応それなりの感性は持っている。自分よりも禄は貰っているはずだ。酒代に馬鹿のようにつぎ込まれているが、に何も買えないほどでもない。それでどうしてそういうことができないのか。いや、正直期待もしてないが、だからと言って本当にしてなかったら馬鹿じゃないのかと呆れる他ない。
自分だったら毎月は無理でも、帰れない時期が続けば髪飾りを送ったり、文を送ったりするに決まっている。寂しいではないか、何もないのは。自分だって何もしない日が続けば少し心配にもなる。
本心としては、自分がこんなにも認めているを放置しているというその所業に耐えられないだけなのだが。しかし本当に信じられない。鶏頭だがそれなりに認めている部分はまあそこそこあったというのに、ここに来てそれが一気に崩壊していった。何て使えない男なんだ。もう少し相手のことを考えたりしないのか。せめて一年に一回でも良いから贈ることくらいはできるだろうに。

「ああ?別に俺の姓で充分だろ」
「……何言ってるんですかこの鶏頭!!」

一拍考えて納得しかけたが、それは悔しかったのでつい声を張ってしまった。
が今でもこの男から離れないのは、つまりはそういうことなのだろうか。こんな男の姓を貰えただけで充分だったのだろうか。何ということだ。未だに結婚できない自分としては悔しい気持ちが湧き上がる。
それも様らしいな、と考えてしまったのが玉は一番悔しかった。

(…それでも!様にご迷惑かけてるのだから今度徹底的に指導しましょう)

結局は管飛翔の隣りで笑っている彼女が一番綺麗だと思っているから、嫌々ながらも勝手にそうしようと玉は誓った。



10/04/25
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