血まみれの身体をぼんやり見つめる。ああ、血生臭い。多分この服はもう使えなくなるだろうと頭の隅で考えた。血が付いている範囲が広すぎるし、何よりもう乾いてきている。何度か水洗いしても落ちはしないだろうと今までの経験で何となく解った。

今回使った剣ももう使い物にならないだろうと利き手に収まっている剣を見て思う。刃も零れてきたが、何より血を付けすぎた。直ぐにこれじゃあ錆びてしまう。愛刀でなくて良かったと少しだけホッとしたが今持っている剣に悪いことをしたとも思う。まあ次の戦いを切り抜けられれば上々か。

ぼうっと立っていたせいかやっと敵が動き出した。後ろに二人、横に一人ずつ。動くのが遅すぎる。少し遠くで金属音が聞こえてくる。あちらの方角は皐武官が戦っていたはずだと戦闘前の配置を思い出す。まあ彼の実力なら心配は要らないだろう。そんなことよりも今は自分の戦いだ。

剣を強く握り、とりあえず目の前に来た相手を薙ぎ倒す。もうそろそろで静蘭たちの隊が動き出して援護に来てくれる。それまでに周りに居る敵くらいは倒しておこうと思って地面を強く蹴った。

戦場でだろうと、愛しい相手に逢えるのは嬉しいことなのだと、初めて知った。





08/02/11
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