「ねえ私も耐性つけられたら、アフロディーテと一緒にあの花園のほうまで行ける?」
「…まあ、つけられたらねえ」
「難しい?」
「ちょっとね、」

魚座に選ばれたせいもあるかもしれないが、代々のピスケスの伝承による対価の部分も大きい。
かつ自分が黄金聖闘士であり、幼き頃からこの毒薔薇と共にある。慣れないほうがおかしかった。

今から彼女が耐性をつけるとしたら、どれくらいかかるだろうか。想像したくないほどの年月と時間がかかるだろう。

(…あ、でも女性のほうがストレスとか強いんだったか)

しかし月の物で毎月血液が循環している。血が耐性をつけても薄くなりそうだった。
やはり無理かもしれない。
そう結論付けてアフロディーテは少し苦笑しながらを見る。

「しかしどうして?」
「えー…一緒にいる時間長くしたいだけだけど」
「……また君はそういう、」

可愛らしいことを平気で言う。

「アフロディーテの時折飛び出すくっさいセリフには敵いませんよ」
「本心だよ」
「じゃあ私もよ」
「……フフッ、そうか」

黄金聖闘士となってから常に心に余裕を持つようにと、笑う癖をつけていた。
今は、そんなこと関係なく笑ってしまう。何だこの可愛らしい恋人は。

「可愛いね」
「…ありがとう」
「うん」

微笑みながらアフロディーテはの髪の毛を梳く。
毒薔薇の場所に一緒に行くことは無理でも、アテネ市街やら海外旅行やら、他に好きな場所へ彼女と行くことはできる。それで勘弁してもらおう。
むしろ他に行きたい場所があるならばどこへでも、彼女の思うままに。それで彼女が幸せと思ってくれるなら、自分は休みだってもぎ取るし、お金だって惜しまない。そもそも男の自分が彼女が関わるのに惜しんだってしょうがない。というか美学に反する。
アフロディーテはずっと微笑んだままの髪の毛を触り続けた。

少しして、は思いついたように口を開く。

「…あ、もしかしてさ」
「ん?」
「アフロディーテと子ども作ったら、その子は耐性できてたりするのかな」
「…………」

唖然として、しかし言われたことを直ぐに理解する。しかし思わず髪を撫でていた手も止まってしまった。というか、この自分が不意打ちを食らうとは。

「…ま、あ。できるかもね」
「できるかな!?あ、でもそうしたら私だけ仲間外れじゃない。やっぱ私も耐性つけるしかないなー」

毎日毒薔薇の花びらで紅茶作って飲むとか?などとは不穏な発言をし始める。

「…いや、私が危なくないようなの作るから、自分では止めてくれ」
「そりゃ無理よあの薔薇自分じゃ採れない」
「…うん。まあゆっくりとね」

その前にこの自分の大きくなってしまった動悸をどうしてくれるのだろうか彼女は。



14/05/13
お題:LUCY28
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