女神は全て許している

その後

少しずつだが彼女と過ごす時間が増えてきている。
休みが被ることなど皆無なので(何せ事務仕事ができる人間が少ない)、仕事終わりや徹夜明けに食事を共にすることが多い。ただ以前に比べれば格段にその時間は増えたし、彼女から誘われることも最近は多い。彼女から声をかけてもらう度に内心アタフタしているし、正直な話嬉しくてにやける顔を律するのが大変だった。

そういえばこの間、からコーヒーを貰った。

「いつも奢ってもらってばかりなので」
「別に気にしなくても…」
「私が誘ったときもお金払われてちゃ、気にしないほうが無理ですよ」

苦笑しながらそう言われて、気持ちを無下にできずに有り難く頂いた。
貰ったコーヒーは流石とも言うべきか、私の好みの味だった。程よい酸味と苦味の奥深さがあり、気分でブラックでもミルクを入れても楽しめる品で思わず買った店を聞いてしまった。

「気に入りました?」
「ああ、美味いな」
「じゃあ、また今度のお礼に買ってきます」

だから教えません。そう言われてしまう。…それは、その。

「豆がなくなる前に、君をまた食事に誘わなければ、な」
「…はい、また是非誘ってくださいね」

このコーヒー豆で、飛び切り美味しいコーヒーを淹れますから。そう言ってきた彼女に、とりあえず今の仕事が一段落しそうな時期を尋ねた。



15/11/11
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