※未来カイル

「え~~~ねえ本当に私が開けないと駄目なの…?」
「うん」
「ええー…」

何故だ。別にそこ拘らなくても良くないだろうか?カイルは時々不思議だ。
というか何でこの態勢なのだろうか。ベッドに座ったカイルの前に膝立ちされて、腰を支えられている。そのまま早くとカイルにせがまれた。

「えー…だって私がやったら絶対痛いよ」
「良いから良いから、早く」
「うえー…」

これ絶対折れる気がない。腰にある手は離れる気配はなく、にこにことカイルは笑っている。
何でピアスを開けるのにこんな問答をしているのだろうか。いやカイルは恋人なのでこの態勢に不満はないのだが、どうして不器用代表の自分にピアスを開けろなんてとんでもないことを言い始めるのか。困る。
っていうか痛そうだし血が出たらどうしたら…。カイルの身体に傷を付けるのは何か嫌だ。でも上手くやれる自信なんてない。しかしカイルは離してくれる気配0である。

「あ~~~~~~~~~~~~~女は度胸!」
「おっ良いね」
「絶対動かないでよ!!」
「おー」

空気を読んでカイルはそこで目を閉じた。くっそこのイケメン、目を開けても閉じてもイケメンである。昔はとんでもないヤンチャな悪ガキだったのにとんだ結果になってしまった。しかも中身もイケメンというとんでもないことである。奇跡の結果としか言いようがない。しかも強いのである。ババ様流石目の付け所が違います。そんな奇跡のような成長を果たした男が彼氏なわけなのだけれど。神様ババ様ありがとう。
根に隠れて生きている中カイルが18になった誕生日に、せがんできたのはにピアスを開けてほしいと、ただそれだけだった。根で暮らすようになってから、欲求を出すことはあっても何かを欲しがったりねだったりするなんて無かったカイルの、そんな頼みは何とか叶えるくらいの度量は持っているつもりである。ただ上手くいくかだけが問題で。いやこの態勢もちょっと問題かもしれない。でもカイルに抱きしめられるのは好きだからまあ良かった。
ピアッサ―でカイルの耳たぶを挟んだ。何故だか腕に力が入る。

「いくよ」
「おう」

そのまま勢いよく思いっきった。これで良いのかどうかも解らない。

「い、痛くない?」
「全然」

目を開けてニカッとカイルは笑う。血が出ているので消毒をして、止血をしていった。

「痛くはないのに血は出るんだ…」
「なーこんな所までちゃんと血管通ってるんだな」
「…誕生日プレゼント本当にこれで良いの」
「ん」

どうせできることが限られている生活である。一緒に今日も生きていることが奇跡的なのだからあんまり沢山も欲しがれない。これはこれでとても満足だからカイルとしては全然構わないのだが。

が渡し足りないって言うなら、夜もっと色々貰おうかな」
「ヘンタイ」
「誕生日だぜー?他に欲しい物ないしなあ」
「……夜、なったらね」
「おお!」

言ってみるものである。皆に祝ってもらえるしから沢山プレゼントも貰えるし最高の誕生日だ。向かい合ったまま唇を重ねた。


***


「あれ、カイルくんピアス開けたんだ」
「お、そうそう。どうよマリー」
「似合ってるよ!…でもどうして片耳だけなの?」
「ん?んー…決意表明、ってやつ!」
「??」



18/12/31
男性の左耳のピアスは「愛する女性を守る」というのがあるそうですね。
カイルの左耳だけのピアスを考え抜いた結果こうなりました。
小説版だと表紙はピアスしてないんですけど挿絵だとしてるっぽいんですよね。罪な男だよ。
18歳の誕生日に何が何でも守りたいと思ってる彼女に左耳のピアスを開けてもらうっていうエモさを詰め込みました。
しかし漫画読み返してたらババ様亡くなってマリー助けに行くときには付けてなかったのでババ様の何かそういう感じだったのかもしれません(語彙力3)それはそれで罪な男だよ…。
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