同い年の男子というのは大体が子どもっぽく見える。体格だけ大きくなった子どもにしか見えていなかった。高校生になってもその認識だった中、同じクラスになった神代一人という男に出会ってからは認識が変わった。

(うわー鼻高い)

隣に座る神代の顔を盗み見て、そんなことを思う。同じクラスになったときは体格のいい男子がいるなあと思っていたけれど、よく見てみるとだいぶ顔が整っている。立っていたらそんなこと絶対に解らないくらい身長差があるのだけれど、隣に座っている状況だと顔の良さがよく見える。
隣に座るこの男は体格も顔も良く、頭も良かった。漫画にありがちなクラスの中心になるような性格ではないものの、話しかければ丁寧に会話してくれる、そんなクラスメイトだった。
自分のことをあまり喋ることはなく、ミステリアスという言葉がこんなにも似合う男が同い年にいるなんて驚きだった。ただ記憶力が大変いいみたいで、少し話しただけのことをよく覚えていて驚くことがあった。クラスの男子と馬鹿をやるなんてことはないが、話をせずに輪に入れないというわけでもない。けれども正義感は強くて、困っている人間には手を貸してくれるような人だった。何だかこう考えているととんでもない人間に見える。しかし山奥の村に住んでいる以外どんな家庭環境なのか全く解らないので、ミステリアスという言葉がやはりしっくりくる。

ちょっといいな、と思っている。告白するほどでもないけれど、こうやって顔を見るくらいの気持ち。けれどもふとした瞬間に目で追ってしまうくらいに、いいなと思っている。付き合いたい気持ちとか、好きという気持ちではなく、目で追って眺めていたい、そんな気持ち。観賞用かもしれない。酷いことを考えているのは解っているが、それくらい好ましい人間ではある。
身長は高くて、顔も整っている。頭も良くて学校の先生の覚えもめでたい。だからと言って勉強ができない人間を馬鹿にすることもない。木偶の坊というわけでもなく、運動も大体できるようだった。考えれば考えるほど目で追わないほうが無理なのでは?
顔がいい上に性格などもいいのだから、こんな気持ちを持つのもしょうがないだろうと自分を正当化しようとした。ただ話さない限りは取っつきにくいイメージが強いので、キャーキャー言われるタイプでもなかった。けれどもバレンタインなんかは本命チョコをひっそり貰えるタイプだろう。

そんなことを考えていたら、目が合ってしまった。

「解らないところでもあったか?」
「んえっ、あ、いや、」

見ていたのがバレていたらしい。言い訳も思い浮かばず、焦っていれば神代がフッと笑った。

「うわの空だと先生に指されるぞ」
「……はい、気をつけます」
「何で敬語なんだ」
「何となく」

見ていたことがバレたことも、笑われたことも、そんな会話をしたことも、全てが恥ずかしかった。
けれども今日これだけで、幸せな気持ちで寝れそうなくらい嬉しくもあった。
取っつきにくいけれど、こういう感じの会話ができる。神代は声もいいのだから、神様というものは好みの人間には二物も三物も与えるらしい。

(……わかんないところあったら、教えてくれるのかな)

どこか解らない部分が出たらそれとなく聞いてみようかと、顔を赤くしながら考えてしまった。


26/03/06
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