その瞳は誰を追うⅡ


何であの女は気付かないんだ。

揚羽はそう思う。こんだけ見つめてるのに何で気付かない。どんだけ鈍感なんだ。
雁字搦めにするほど自分を入れ込んだくせに、自分の気持ちに気付いてくれない。当然見返りも無い。
何とも不毛な想いな気がして溜め息をつきたくなってくる。正直寂しい。片想いが楽しい時期なんてとっくの当に過ぎ去った。話が出来て嬉しいとか、そんな年でもないしそこまで経験が無いわけでもない。タタラ軍に居るこの状況でそれも不謹慎な気もする。
茶々とかがちょっとだけ羨ましい。あの二人のようにいつも一緒に居られればとても幸福だろう。自分には似合わないけれど。

死ぬ前までにせめてを抱きしめるくらいはしたいなあとか、揚羽は思いながら今日もタタラと笑い合ってるを見つめた。