どれだけ頑張っても、そんな所に届きはしない。
タタラを見て、は自分の卑小さが嫌になることが多々有る。自分の考えていることや感じることが何て卑屈で小さいことか。何でこの女の子は辛いと解っていながらこうやって身を粉にして動くことが出来るのか。タタラ軍一番の謎はやはりこのタタラと言う女の子だろう。同性の自分が見ても謎だらけだ。何でこんな身体で男と共に行動して、男を打ち負かしていくのだろうか。そして何で女ってバレないんだろう。
憧れの対象でも有った。自分もこうやって泥だらけになりながらも、生き生きした人生が送れないものだろうか。
揚羽が、認める女の子なのが、一番悔しい。
ああ、これだから自分の卑小さが嫌になる。何て醜い。
大好きな友達なのに、こんなにも妬みで心がいっぱいになる。醜くて、汚い。それでも自分は笑ってタタラに接する。内心では、ずるいって、何度も何度も考えながら。
自分がタタラだったら、揚羽はああやって接してくれるのだろうか。本気でぶつかり合いながらも、希望を抱いて、背中を任せてくれるだろうか。
多分、無理だろう。
タタラだから、更紗だから揚羽はああやって接しているんだ。それくらい、解ってる。伊達に揚羽を見てきたわけじゃない。ああもう、本当に辛い。
どれだけ強くなっても、どれだけ綺麗になっても、タタラにはなれないし、揚羽に届きはしない。揚羽は自分の腕なんて求めていないし、風の揚羽に自分の腕が届くとも思えない。届くはずが、ない。
タタラだったら、揚羽に腕を伸ばせて、揚羽は自分を必要としてくれたのだろうか。
ありえないことを考えて、は剣の手入れを終わらせた。刀身に映る自分の顔は、酷く歪んでいて醜かった。